キルギスへの旅行者を、首都ビシュケク市内のバザール(市場)に案内していた所、我々一行は警察官に呼び止められ、身分証の提示を求められるという一幕があった。日本人の間で「ポリスチェック」と呼んでいるもので、日本だと「職務質問」にあたるのだろうか。
といっても、キルギス、特に首都ビシュケクでは割とポリスチェックに引っかかることがあり、我々が不審な行動をしたからという訳では必ずしもない(バザール内で、5人が5人ともデジカメやデジビデを出して撮影しまくっていれば、それはそれで不審者と思われたのかもしれないが…)。
パスポートを提示したところ、その警察官は「ビザがないぞ。ビザはどうした?」と言ってきた。知らない方がほとんどだろうが、日本人がキルギスへ入国する際、60日以内の滞在であればビザの取得は不要である。中央アジア諸国の中では唯一の、日本人が旅行しやすい国なのである(だから皆さん、もっとキルギスへ旅行してくださいな)。ただ、現地の警察官もそのことを知らない人は結構いるので、「ビザはどうした?」ということになるのである。
ポリスチェック自体は、先方(警察官)も職務としてやっていることだし、こちらもやましい所はないから、何も臆することなく対応すればよいのだが、気をつけなければならないのは、ビザがどうの、○○に不備があるなどと言いがかりをつけて、罰金を取ろうとする不埒な輩がいることだ。そういうことをする偽警官(警官に扮して外国人旅行者から金を取る)がいると聞くし、正規の警察官の中にも小遣い稼ぎとしてそういうことをする者がいるとも聞く(その場合、「罰金」として支払った金も、そやつの懐に入る)。
正規の身分確認としてきちんと対応しつつ(ここで変な反抗をすれば話はややこしくなる)、不審警官かも知れないということも念頭に置いて、日本人はビザが不要であることを説明。その警官は、同僚か本署かに電話をして、ビザに関して確認していた模様。私を含め旅行メンバーの身分証を確認し、5分ほどでポリスチェックは終了。「無罪放免」となった(当然だけどね)。
今後、キルギスに旅行される方のために、簡単に書き加えておく。
- ポリスチェックは、日常的に、現地人にも旅行者にもなされる。自分に特別な容疑がかけられている訳ではないので、焦らず、淡々と対応すればよろしい。
- ただし、上述の通り、偽警官・不正警官が近づいてくることもあるので、それには注意が必要。具体的には、
- 人気《ひとけ》のない所に連れて行こうとする(→付いていったらかなり危険)
- 「かばんの中を見せろ」など、所持品を見ようとする(→検査のふりをして金品を抜かれる)
- 言いがかりをつけて「罰金」を取ろうする(→正規警官も小遣い稼ぎにやっているという噂あり)
いずれも自分にやましい点がない限り(ある人は無理でしょ)、相手の言いなりになる必要はなし。所持品検査も、ポリスチェックではそこまでの権限はないそうだから、どうしてもやる必要があるというならば、警察署などに行ってやるとかで、リスクを減らすべきだろう(ただし、相手の車に同乗するのは危険。歩いて行くとかが良いか?)。
なお、どうしても話がこじれてしまったら、駐在大使館に電話をして救いを求めるのが確実だろう。大使館の仕事を増やすのは申し訳ないが、現地の言葉も法律も分からない者にとっては、すがらせてもらわざるを得ない。大使館は「パソリストヴァ」だから、「テレフォン、パソリストヴァ」と連呼して電話をし、大使館員に事情を話して事態の解決策を教えてもらう、或いは直接話してもらうのが良いだろう。
短い滞在期間中に、ポリスチェックも体験できたのは、旅行に来たメンバーには貴重だったと思う(みやげ話になるでしょ?)。