【キルギスツアー】食文化適応力

旅行の最大の楽しみは、旅先ならではの食べ物を味わうことである。日本国内での旅行でも、海外への旅行でもその点は変わりないが、国内だとおおよそ自分の味覚経験の範疇に収まる食事が多いのに対し、異国の食事ではまったく予期しない味覚に出くわすことがある(ちなみに、調べてみたら「出くわす」の表記は「出喰わす」ではなく「出会す」が正しい)。

日本人にとって、キルギスの料理でもっともネックになるのは羊肉料理だと思う。日本では羊肉料理の筆頭に来るのはジンギスカン。あとはフレンチとかの食材で使われるくらいか? 北海道ではジンギスカンは焼き肉の定番で親しまれているが、それ以外の地域ではあんまり食されていないのではなかろうか? 関東出身の私は、羊肉料理というのは馴染みがない。大阪に暮らしていた時期に、ジンギスカンの焼肉店を見つけて一度行ったが、客は私のグループのみで、次に行った時には潰れていた。

対して、キルギスでは肉と言えば羊肉である。村の肉屋でも、牛・鶏は置いてなくても羊は絶対にある(もちろん豚は最初からない)。麺、米、野菜蒸し煮、饅頭、等々、どんな料理でも羊肉は使われる。

キルギスではお馴染みの羊肉であるが、独特の香りと風味があり、日本人の中には「くさい」と感じてしまう人がいる。現に、キルギスに派遣されている協力隊の中にも羊肉料理が苦手な人が数名いる。羊肉料理を食べないとなると、この国での食事メニューのチョイスはすごく減ってしまう。羊肉苦手隊員が食堂でオーダーする時に、羊肉以外の料理がないかと店員に訊いているのを見ると、大変だなと思う。

そんなことが念頭にあったので、日本からの旅行者一行が羊肉料理を食べられるか心配していた。もし羊肉がダメな人がいたら、旅行中の食事のアレンジもやり直さなければならなくなる。

果たして、到着後、最初の食事。ラグマン(トマトスープのうどん)、ボソ・ラグマン(焼きうどん)、マントゥ(饅頭)など、キルギスの定番料理を注文。旅行者にとっては、キルギス料理とのファーストコンタクト、未知との遭遇。どうであったか…。

皆、「美味い、これ美味いよ」と言って、パクパク、ガツガツと平らげてくれた。羊肉の風味十分の皿だったが、問題なく、というよりむしろ大感激で食べていた。今回の旅行メンバーにはキルギス料理はドンピシャで好みのツボにはまったようだ。招待・案内する側としても、食事を美味しく食べてくれるのが一番嬉しい。

さて、羊肉のハードルを難なく越え、キルギス料理が大好きになった彼らであったが、別の落とし穴が待っていた。料理の食べ過ぎ(?)による胃腸の疲れ。旅行中に体調を崩した人、帰国後にPとなった人と、結局、旅行メンバー全員がPPとなったそうだ。

旅先での食べ過ぎ。これもついついやってしまう失敗である。「そこでしか食べられない物は食べてみたい」という好奇心が強い人はなおさらである。案内役の私があれこれと紹介し過ぎたのも食べ過ぎの原因となったかも、と少し反省した…

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