2011/11/11

黒いあれこれ

前に「赤(色)」に関する単語の比較をした。今回は黒。

ロシア語で「黒い」はчёрный /チョールニー/。ここから派生したчернила /チルニーラ/という単語があるが、これは何だか想像が付くだろうか?

答えは「インク」である。日本語なら「墨」と訳す場合もあるだろう。

ならば、英語のinkも黒に関係のある単語から派生したものかと思って辞書を見たら、こちらは「焼き付ける」という意のギリシア語(?)が元らしい。インクを作るために炭を焼いたことによるのだろう。

キルギス語の「黒/黒い」はкара /カラ/。英語アルファベットならKARAになるが、日本でそんな名前のアイドルグループの人気があると聞いて、キルギスと関係があるのかと思ったら、こちらは韓国のグループであった。

ちなみにキルギス語で「雪」はкар /カル/。「黒」と「雪(=白いもの)」を表す単語が似ているのが、私には不思議な感じがする。

いまいち確信が持てないが、кара(黒い)から派生したらしい単語にкарагай /カラガイ/ というのを見つけた。これは「樅《もみ》の木」。常緑樹で、一年中濃い色をしているからか?

さて日本語で黒にまつわる単語と言えば「黒子」。歌舞伎で黒い衣装を着て、演技の補助する人を指す場合は「くろご」と呼ぶらしい(いつも「くろこ」と言ってしまっていた)。これは「黒衣」とも書く。

「黒子」の別の読みは「ほくろ」で、これは読めない人も結構いる。黒子《ほくろ》に対応する各語はこんな感じ。

ロシア語 - родинка /ローディンカ/
род(=生まれ、氏族、親戚など)、родина(=故郷、祖国)から派生した単語。「生まれつきの痣《あざ》」だからか?

英語 - mole
この単語は黒子以外にも意味がたくさん載っていた。モグラ、防波堤、モル(単位)など。モグラは地中の暗闇で生活するから、「黒」というイメージはかぶるような…

キルギス語 ー кал /カル/、мењ /メン/ の二つ載っていた。
калは日本語で読みを当てるとкар(雪)と同じカルになってしまうが、LとRの発音の違いがある。

日本語以外では、「黒」から連想された気配はない(英語のモグラは怪しい?)。

以上、黒にまつわるあれこれを書いてみた。

だから何?

というのは言わない約束ということで…

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