日本語では、生まれて間もない動物の子供を「赤ちゃん」と言う。「赤ちゃん、赤ん坊、赤子」などの言葉は、生まれて間もない人間の子供の体が赤みを帯びているところに由来する。
さて、キルギス語で「赤色/赤い」はкызыл(クズル)という言葉である。これに派生語を形成する接尾語ча(チャ)を付けるとкызылча(クズルチャ)となり、あるものを指す単語になる。クズルチャとはどんなものか?
ロシア語では「赤い」はкрасный(クラースニー)。ちなみにロシア語では「赤、赤色」を名詞一つで表す単語は存在しないようで、「赤い(形容詞)+色(名詞)」と言うことになる。ロシア語の「赤い」は、形容詞の「美しい」красивый(クラシーヴィー)に派生する。赤いものは美しいということだったのかしらん?
ロシア語の「赤い」が派生してできたと思われる名詞がкраска(クラースカ)。これもどんなものか想像していただきたい。
キルギス語の「クズルチャ」、ロシア語の「クラースカ」。それぞれ「赤」から派生した単語である。その示すものは「クズルチャ→ビーツ、甜菜《てんさい》」「クラースカ→ペンキ、塗料」である。
ビーツは名前だけしか知らない野菜だったが、日本でロシア語を教えていただいた先生にボルシチ(ロシアのスープ料理)を作っていただいた時に初めて見た(そして味わった)。ビーツは赤というよりは赤紫という感じの色の野菜で、これで作るためにボルシチはその独特の赤紫のスープになる。砂糖大根という別称もある。
ロシア語では、「赤っぽいもの」が塗料の代名詞的な単語になっているのが面白い。
ついでなので、英語にも同じ様なのがないかと調べてみたが、redから派生したらしき単語は見つけられなかった(知っている方、教えてください)。ただ、「深紅(色)」を意味するcrimsonという単語を調べたら、crimson lakeというのがあって、これは「赤の顔料」を意味するのだそうな。lakeは「湖」ではなく「顔料」のことで、lakeだけで「深紅色」として使えるらしい。「顔料(塗色材)=赤、紅」という図式で考えると、ロシア語のクラースカと似ている。やっぱ、こいう点で言語的な発想が近いんだろうか?
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