2011/11/08

『南極料理人』と青年海外協力隊

映画『南極料理人』(監督:沖田修一、出演:堺雅人、生瀬勝久、きたろう、他)のDVDがあったので観た。

南極にある日本の観測基地には、天文や地質などの調査、また基地の機械の保守などの人が派遣される。その彼らの健康管理をする医師や、毎日の食事を提供する調理師も必要ということで、この映画のタイトルは、南極観測基地で調理師として派遣された男を主人公とした物語である。

青年海外協力隊と重なるところが色々あるように思いながらこの映画を見ていた。

まず、青年海外協力隊も南極観測隊もともに、派遣される人は「隊員」と呼ばれる。「○○隊」というと、ウルトラ警備隊のように、何らかの使命を負って任務にあたるという勇ましいイメージである。協力隊も、途上国に赴いて、「その国・地域の抱える問題の解決や、諸分野の発展に寄与する」という使命を負っているが、現地での生活を通して、現地の文化を味わい楽しむということもあるので、私自身が協力隊に持つイメージはのんびりしたものである。

一方、同じ「隊員」であっても、南極観測隊のほうは、現地には人はおろか、どんな生物も住めないというマイナス70度の世界での暮らしである。生活環境はとても厳しい。協力隊は派遣期間が2年間であるが、南極観測隊は1年のようである。10人程度の固定した面子で、長期に渡って暮らし続けるのは結構ストレスが溜まるはずだ。協力隊は、なんだかんだと言って、夏休みなどにその国の中を旅行したり、現地に友達ができたりと、人間関係に変化がある。

人間、なんだかんだ言っても、人間関係の問題は精神状態に大きく影響する。映画『南極料理人』の中にも、協調性のない隊員がいて、他の隊員と摩擦が起こる場面があるが、固定メンバーの中で軋轢を抱えたまま、かつ途中で「もう辞めた、日本に帰る!」ということもできない。これはきつい。

一方、協力隊のほうは、異国へ行って、そこの言語を使って、そこで暮らす。たまに自分で和食を作ることはあるが、基本的には現地の物を食べる。日本とはまったく異なる食文化(米がないのが一番堪える)の地域に行く隊員は食生活では苦労すると聞く。南極観測基地は、映画で見る限り、日本からの食料が潤沢に貯蔵されているようで、この点は羨ましかった(まあ、現地調達は不可能だから、そうせざるを得ないのだが)。

「隊員」同士とは言え、まったく異なる青年海外協力隊と南極観測隊だが、映画を見ながら比較をしていた。

ひょっとして、この二つの「隊」に、両方とも参加したことがある人もいるのだろうか? 南極観測隊は主に自然科学分野の研究員か技術屋だと思うが、協力隊にもそれに重なる職種はある。だから「ひょっとしたら」と思うのだが…。

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