キルギス語を勉強していると、どこかで見覚え・聞き覚えのある単語に出くわすことがある。覚えがあるのは、マレー語で見聞きしたことがあるからである。
これまで気付いたものを一覧にしてみる(//内は発音をできるだけ原語っぽく表した)。
キルギス語
マレー語
日本語(訳)
убакты /ウバクトゥ/ waktu /ワクトゥ/ 時間 аскар /アスカール/ askar /アスカー/ 軍隊 ду’йно’ /ドゥイヌォ/ dunia /ドゥニア/ 世界 кабар /カバール/ khabar /クハバール/ ニュース、知らせ жума /ジュマ/ jumaat /ジュマアット/ (共)金曜日/(キル)週 кызмат /クズマット/ khidmat /クヒドマット/ サービス、奉仕 о'му'р /ゥオムォール/ umur /ウムール/ (キ)命/(マ)年齢 заман /ザマン/ zaman /ザマン/ 世紀、時代 мечеть /メチェーチ/ masjid /マスジッド/ モスク
※キルギス語欄の「о'」「у'」は、キルギス語固有の文字を表す。これらの文字はフォントの制限で記述できない(また、使用するとすべてが文字化けする可能性がある)ので代替して表した。
これらはアラビア語を語源にする同じ言葉だと言って間違いない(ただし、「モスク」を表すメチェーチについてはいまいち確信がない)。
キルギス、マレーシアともにイスラム教の国であり、かつて、イスラム教の伝播して来た時に、これらの単語も入り、定着したのだ。
だいたいどれも同じ意味で使われているが、永い年月の中で、微妙にニュアンスが変わったものもあるようだ。「ジュマ」「ジュマアット」は、イスラム教の集団礼拝をする日を指し、それがすなわち「金曜日」である。キルギスではその集団礼拝を基準に一週間を区切ったのだろうか、「週、一週間」という意味でも使われている。ちなみに、キルギス語教科書にはジュマは「金曜日」だと載っているが、実際には、金曜日は「5番目の日(月曜から数えて)」という言い方が一般的なようである。
キルギス人、マレーシア人の中でも、それぞれ使っているのがアラビア語語源だと意識もしていないような言葉もあるだろう。日本人が「ミシン(はた織り機)」が元は英語のmachine /マシーン/に由来しているとか、「イクラ(鮭の卵)」がロシア語で「魚の卵」を表すикра /イクラー/ から来ているとか知らずに使っているようなものである。
もちろん、上記以外にも両言語に共通の単語はまだある。「テレビジョン」「ラジオ」「テレフォン」「チョコレート」「パスタ」などである。これらは、近現代に外部から生活に入り込んで来た品々であり、西洋語を通じてそれぞれの国に定着した物である。
かつてはイスラム教を通じて共通の単語が入り、今はまた別の形で共通の単語が入っている。共通語は外来語である可能性が高く、外来語はその国・文化の歴史を映している。
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