2011/11/26

Каша (1)

каша。「カーシャ」と発音する。「粥《かゆ》」のことである。

キルギスの人も粥を食べるのにはいささか驚いた。いや、正確には、キルギスに派遣される前の日本国内での訓練中に、食べ物に関するロシア語を学習する中に「カーシャ」、すなわち粥があるのを知った時に、ロシア人も粥を食べるのだと知って新鮮であった。

こちらの粥が日本のと決定的に違うのは、煮込む際に牛乳を加えていることである。いわゆる「乳粥《ちちがゆ》」である。牛乳で煮込んだ粥を、砂糖と塩で味を調《ととの》えて出来上がりである。

米を牛乳で煮込む(※100%牛乳ではなく、水と牛乳で煮込む)なんて、日本人の中には「ちょっと…」と敬遠する人もいるかも知れないが、食べてみると、私には美味しい物であった。隊員仲間に「米を牛乳で煮込むなんて、日本人には馴染まないよねぇ」と言ったら、「いや、リゾットみたいなもんでしょ」と返され、なるほど、確かにリゾットとかドリアとか、米と牛乳の組み合わせで調理する料理があると気付いた。

リゾットやドリアと同系統の物と考えれば、乳粥も日本人にとっては大して違和のある物ではないはずである。粥に砂糖で甘く味付けするのを嫌がる人もいるかも知れぬが、おしるこ、きんとんのように、穀物を甘く味付けするのはむしろ日本では伝統的な調理法だとも言えるのではないか。

日本で粥と言えば、たいていは米粥のことを指す。こちらでも米粥はあるが、米以外の穀物も粥にして食している。正確には分からないのだが、粟《あわ》や稗《ひえ》と思われる粥もある。粟、稗というと、極貧生活者の食べ物というイメージが私にはあるのだが(昔話とかではそういう物として登場していたと思う)、こちらではそういうことではないらしい。

日本で、中規模以上のスーパーマーケットならば、コーンフレークなどを売っている棚に「オートミール」というのが売っていて、あれは麦(oat カラスムギ)が主になっている食べ物であるが、昔、好奇心で買ってみて箱の調理方法には、牛乳で煮込む(あるいはホットミルクをかけて混ぜる)みたいなことが書いてあったと記憶している。あれも穀物の乳粥の一種なのであろう。

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