夏より冬のほうが星がよく見えるのだと習ったと思う。多分、大気の温度の違いによって、光の透過度が変わるとか、そういうことなんじゃないかと素人考えで理解している。
キルギスでは、こちらにしてみればまだ冬本番と呼ぶにはあたらないとはいえ、関東出身の私にしてみれば十分に冬になっている(ちなみに、北海道にも在住経験がある。あの寒さと比べれば私がいる地域は、暖かいということになるが…)。
そんな寒さの到来したキルギス、ボコンバエバ村なので、星空はさぞきれいだろうから、天体観測も楽しいだろうと思っていたが、さにあらず。
一つには、以前にも書いたが、あまりの寒さに、家の外に出て5分も空を見上げているというのがしんどいのである。天体観測ファンは、そういうことも見越して、防寒の態勢も整えて観測に望むのだろうが、私にはそこまでの真剣さはないので、この時期の天体観測は億劫だと感じてしまう。
もう一つ、天体観測が楽しくない理由は、寒さが増して星がよく見えるようになると思っていたのに、むしろ夏場よりも星が見えづらくなっているのである。
ここ最近の天候は、雲がかかっている日が多く、日中でもどんよりしている。夜、そのまま雲が晴れなければ、当然、星は見えない。
だが、雲が晴れている夜でも、夏の時季よりも見える星が少ない。これ如何に? 星座の配置が変わって、今の時季は見える星が少ないのか? そんなことはあるまい。
夏場よりも星が見えないことを不思議に思っていたのだが、夜、トイレに行く際、隣家の家の煙突から煙が上がっているのを見て気付いた。
冬場は各家庭で石炭・薪を焚く煙が出て、大気が霞んでいる、のだ。
これなら冬場に星が見えづらいことが説明がつく。夏場も、炊事や風呂で薪を焚くことはあるが、冬場はそれに加えて暖房用にも焚く。しかもこの場合は石炭を使う家もある。現在は電気ストーブ、電気ヒーターを使っている家もしばしば見かけるが、それでも全家庭がそういうのを使っている訳ではない。ペチカ(ロシア語で「暖炉」)で石炭・薪を焚いている家もたくさんある。
と、勝手な観察と解釈で、新たな発見をしたのである。だが、それにしたって、日本の町で見るよりは全然たくさんの星が見えているだけれどね。