トイレで用を足して、トイレットペーパーで拭いた後、使い終わったその紙は便器の中に落として水を流す。日本では当たり前のことだが、トイレットペーパーの扱いについては、文化や地域によってかなり異なる。
キルギスでは、村ではほとんどの家のトイレは“ぼっとん便所”であるが、町では水洗トイレ(「水洗便所」でも同じ意味だが、「水洗」と付くと「トイレ」と書くほうがよい感じか…?)が普及している。
水洗トイレでの用便に慣れている人にとっては、水洗トイレはありがたいものだが、注意しなければならないのは、キルギスの水洗便所では、トイレットペーパーは流してはいけないことである。
何故にと言えば、トイレットペーパーが水溶性でないため、下水管の中にトイレットペーパーが残ってしまい、配管詰まりを起こしてしまうからである。日本でも、ティッシュペーパーの注意書きを読むと「トイレに流さないでください」と書かれているが、あれはティッシュペーパーは水で溶けないからである。
日本ではJIS(日本工業規格)によって、「トイレットペーパー」の基準も設けられているそうである(前にテレビで観た)。確か、「××の水流で××cm3の管に流した時に、××m以内に溶けること」みたいな基準であった。そんなことまで規格があるのかと感心したのだが、それがあってこそ、我々は普段、何の心配もせずにトイレにトイレットペーパーを流せているのである。
キルギスで売られているトイレットペーパーは、―手に取ればすぐに分かるが―、硬くてごわごわしている。そして水に溶けない。何よりの証拠に、ぼっとん便所の下に落ちているトイレットペーパーに“放水”をしても、紙の形状は変わらない。
トイレットペーパーが流せないとなると、使用した紙はどうしたらよいのか。
キルギスの水洗トイレでは、必ずごみ箱が置かれている。使い終わった紙はそこに入れるのである。
さて、やっと本題なのだが、キルギスで生活し始めの頃は、何度かうっかりと便器に紙を流してしてしまったことがあるのだが、2年も生活していれば、紙を流さないことがすっかり身に付いている。
そういう癖が身に付いて、日本のトイレ(まずは成田か?)を使うと、「あれ、ごみ箱がない…!?」と焦ってしまうのである。いや、これは笑い話でなく、帰国した先輩隊員から聞いた実話である。
日本のトイレは個室だから、ごみ箱を探して焦ったとしても、誰に見られるという訳ではなし、「ヤバい」というほどの話ではないのだけれど。
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