日本のプロ野球。今年は横浜が球団売却されて新球団になった。もう5~6年、最下位が定位置になっているチームで、今シーズンも戦力的にはかなり厳しく、成績もよろしくない。それでも、中畑新監督が就任して、なんだか他のチームにはない、独特の面白さを醸し出しているように見える。横浜のファンではないが、セリーグの中では断然、このチームを応援したい。
さて、その横浜だが、球団は勝敗に応じて返金できるチケットを販売していた。このチケット、「横浜が負ければ全額返金、横浜が勝っても、試合に満足しなければ半額返金に応じる」という企画であった。「勝っても返金」って、なんか変だなと思っていたのだが、この企画が終わってニュースサイトで評判のようなものが載っていた。
トイレ混みすぎ…好調DeNAに「金返せ」行列
試合とは関係のないところで「満足、不満足」が語られていて、要は安売りチケットとして認識されていただけではないかと思われる。この企画の結果について、特に勝っても返金申請が多数出ていたことについて、中畑監督は「選手の士気に影響する。二度とこのような企画はしないでほしい」旨、語ったそうな。監督も選手もかわいそうに…。
この企画について、伊集院光もラジオ番組で触れていたようで、面白いことを言っている(ラジオ番組の内容を文字に起こしている「世界は数字で出来ている」から一部引用)。
伊集院光「横浜DeNA 返金チケットは失敗だ」
この場合、自分の中に『これは返金できる/できない』じゃなくて、『負ければ全額、勝ったら半額っていうチケット』だって思ってるのかな、と。2千円の、もしくはただのチケットってことで買ってるなら、もう出さないほうが良いよ。まともなお金で入ってる人に対しての、むしろ購買意欲を下げるチケットに過ぎないから
これ、本当にそうだと思う。私は、このチケット企画の話を聞いた(読んだ)ときに、まさにそのように受け取った。もっと言えば、「横浜が負ければチケット代がタダになる。ならば、横浜、負けろ~」と逆応援をすることになるんじゃないか、と。これでは、現場で戦っているチームはやりきれない。
その後、伊集院は面白いアイデアを出している。
負けた回では、チケットを切らず、『勝った試合5回見られるチケットですよ』ってことではダメなんかね?負けた試合では、チケットにハサミは入らないけど、勝った試合は入るから、『これは5勝分見られるチケットですよ』っていうんなら分かるんですけど(略)
伊集院光のオリジナルアイデアなのかどうかは知らないが、これは面白い。もちろん、いつチケットにハサミを入れるのかとか、そのチケットを持った人が蓄積した場合、座席が不足しないか、などの課題はありそうだが、考えれば解決策は見つかりそうなレベルである。
伊集院光のアイデアを聞いて、それを発展(?)させたアイデアを私も思い付いた。
ホームゲーム(横浜スタジアム)で、横浜が勝利したらシートにスタンプをもらえるようにし、スタンプが××個集まったら、1試合分のチケットと引き換えられる。
というのはいかが? これなら、横浜が勝利することを積極的に応援できる。さらに、スタンプを集めるまでは何度も球場に足を運ぶから、来場者数は上がる可能性もある。さらに思い付いた!
たとえば、5勝分のスタンプを集めたら、1試合分のチケット1人分と引き換え。
しかし、5勝分で引き換えずに、9勝分までスタンプを集めたら、1試合分のペアチケットと引き換え。
そこでも引き換えずに、15勝分までスタンプを集めたら、2試合分のペアチケットと引き換え。
なんていうのはいかが? 「15勝分を集める」って、ある意味、横浜の勝率で考えると40試合くらい見に行かなければいけないし、そのスタンプを集めている人が見に行った試合が負け試合ばかりにあたることもありうるわけで、達成はかなり厳しいかもしれないが…。こういう企画内容では法律上の問題があるのかしらん?
横浜の親会社となった企業は、無料ゲームで利用者を集めるというところらしいのだが、その「無料ならば人が集まる」という発想が基本にあるのかも知れない。企画の奇抜さで集客を狙ったのだろうが、その時、現場の監督、コーチ、選手、また今まで応援してきたファンのことはどのように考慮したのだろう。球団経営は、もちろん、ビジネスであるから、売上を上げることが目標であるが、野球チームは球団経営者だけのものではない。
野球チームはファンのものであり、そして現場(監督、選手、コーチたち)のものである。この人たちが、チームの勝利を喜べないような企画・仕組みを考えるようならば、そのうちファンも現場もチームに愛想を尽かしてしまうだろう。
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