新隊員を連れ回す

21年度4次隊が任期を終えて帰国して、その1週間後に新隊員の23年度4次隊が赴任してきた。いつもながらに思うことだが、協力隊は2年経てばメンバーがすべて入れ替わるわけで、それでも脈々と続いているところが不思議である。

私は首都に活動場所を移していたので、今回の新隊員の赴任に際して、到着当日に首都隊員での小さな歓迎食事会をしたり、市内のバザールを案内したりした。隊員同士の食事会(飲み会)にも連れ回した。

「面倒見が良い」と言われることもあるが、面倒を見るというのとは違った思いで、私はやっているところがある。

最初に書いた通り、協力隊は2年間の任期で入れ替わっていく。私の任期は今年の7月末までであるから、今回来た新隊員とはキルギスで共有する時間は4ヶ月しかない。しかも毎日会うわけではないし、現地訓練を終えた後はそれぞれの任地に別れるから、実際に会うのは10回にも満たないであろう。そうであれば、会えるうちに会って、交流をしておきたいと思うのである。

協力隊の魅力の一つは、年齢も職業も異なる者同士が、日本国外で知り合い仲間になっていくことである。マレーシア隊員での経験から言えることは、そこの出会いでその後も続く友人を得ることがあるということである。そういう友を得るというのはかけがえのないことだと、私は思う。もちろん、協力隊終了後も交流が続かない人もいるだろうが、それでもとにかく、キルギスという国でたまたま滞在の時期が重なったのだから、相手のことを知れたらと思うのである。

私が新隊員を連れ回す理由のもう一つは、赴任直後の新隊員に対しては「先輩面《づら》」することができることである。

新隊員は、もちろんのことだが、その国のこと、その町・村のことをまだ知らない。今はネットで調べたりして、予備知識を持ってくる人もいるが、当然のことながら、そういう情報は実際の生活の何百分の一にも及ばない微々たるものに過ぎない。

バスの乗り方、買い物しやすい場所など、これから生活を始める人たちにとっては役に立つ情報を、先輩隊員は持っている。実際、私が一度目の協力隊参加で、マレーシアのクチン市に赴任した時、任期延長で数週間だけ活動期間がかぶった先輩隊員から色々と教えてもらった。初めて暮らす土地で、そういう導入をしてくれる人がいたことはありがたかった(逆に、先輩隊員がいない任地に赴くのも、それはそれで協力隊らしいとも言える)。

それは新隊員にとって役に立つ(そうであってほしいが)のと同時に、引き継ぎをする先輩隊員にとっても、自分が暮らしている国、町・村を紹介できる機会にもなっている。自分が暮らしている土地のことを、誰かに紹介する、案内するというのは、その土地のことを見つめ直す機会でもあるし、そういうことを通じて、その場所に愛着が増すものだと私は思う。同じ理由で、日本からの旅行者を案内するのも、私は嫌ではない。

Bishkek
(観光スポットが新鮮に映るのも赴任直後だけ…?)

というわけで、「情けは人のためならず」ではないが、新隊員を連れ回してあちこち案内しているのは、単に新隊員のためというだけではなく、自分の満足のためでもある。

それはそれとして、新隊員の諸君には、私から受けた恩は一生涯忘れずに、いつか100倍にして恩返しをしてくれることを期待して止まない。

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