首都では豚肉が容易に手に入るので、豚肉料理をすることが多くなった。
隊員が集まって、誰かの家で手料理の食事会をする時に、これまで何度かとんかつを作った。とんかつは嗜好率が高いので、こういう場では人気のあるメニューなのである。
豚肉さえあればとんかつなんてすぐにできそうに思うのだが、キルギスにおいてはそう簡単でもない。毎回、問題になるのがパン粉の調達なのである。
キルギス人、さらにロシア人もパン粉を使った料理はあまりしないのか、一般の店でパン粉を売っているのを見たことがない。韓国系の食材店では売っていた。ただし高い。日本と同じくらいのパッケージで240ソム(約400円)くらいであった。じゃがいも1kgが8ソム(約13円)と比較すれば40倍であるから、「高く」感じるのが分かってもらえるだろう。
で、自分たちでとんかつをする場合、毎回、手作りパン粉に挑戦することになる。話は簡単で、食パンを買ってきて細かくするのである。話は簡単だが、実践は難しい。
自分たちが持っている道具でパンを細かくする方法を色々と試したが、まず最初に試みたのが「手でちぎる」。だが、すぐに察しが付くと思うが、手でちぎるのではそれほど細かいパン粉にはならない。大粒の「パン玉」ができるだけであり、それを衣に揚げたかつは、何というのか、ガチガチした歯触りのパン玉をまばらにまとった、おおよそ我々がとんかつと聞いて想像する物とはかけ離れた姿、食感の料理になってしまうのである。(T_T)
次に考案されたのが「下ろし金」である。食パンを下ろし金ですり下ろすのである。これは上手くいくのではと、隊員一同の期待がかかった方法であったが、やってみるとさほど効果は上がらなかった。まず、パンが生っぽいとダメなのである。しっとりと水分を含んだパンだと、上手くすれずに、手でちぎった時のようにパン玉になってしまうのである。
そこで改良案として、パンを乾燥させてから下ろし金にあてる方法が出てきた。買ってきてから部屋で2~3日放置したパンは乾燥してカチカチになる。2~3日放置したパンがない時は、パンを1cm厚に切って、それをフライパンで焼いて、強制乾燥させる。乾燥させたパンは生のパンよりはすり下ろしやすいが、それでも会心のできとなったことはない。
一度だけ「上手くできた」と心から思ったパン粉が作れたのだが、それは、菓子パンというのかミルクパンというのか、そういうふっくら、ふんわりした感じのパン(ロシア語だとбулочка /ブーラチカ/)を使った時であった。ブーラチカをさいの目に切って、フライパンで炒めてカリカリに乾燥させる。その後、手の平や指で砕いたら、これがいい感じで細かくなった(同じ方法を食パンでもやったことがあるが、生地の目(というのか?)がつまりすぎていて、細かく砕けなかった)。
(隊員を悩ますパン粉。最初にパン粉を発案した人はどうやって作ったのだろうか?)
将来のキルギス隊員がこのブログに行き当たるかも知れないし、キルギス以外でもパン粉の手に入らない国でとんかつを作りたい人に、少しは参考になるかも知れないので記録しておく(パン粉作りについてネット検索もしてみたのだが、紹介されているのは、ブレンダー(ミキサー)を使うのがほとんどで、自分には参考にならなかった)。
まあ、ここまで労力をかけることを考えると、韓国食材店に行って、市販のパン粉を買ってくるのもさほど高いとは言えないかも知れない、と思わないでもないが…。
そして、パン粉問題はとんかつのみならず、コロッケや串揚げでもぶち当たる共通の問題であることは言うまでもない。
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