タンおばさん&ショロおばさん登場

いつ、おばさんたちを見かけ始めたのか、正確に思い出せないのだが、まだ4月になっていなかったと思うから、3月の最終週くらいだったろうか。おばさんたちが道の辻ごとに現れだし、ビシュケクの春の到来を感じた。

キルギス人は主に遊牧民だったこと、現在も酪農(羊、牛、馬)が主要な産業であることから、食文化の中に乳製品がたくさんある。馬乳や牛乳を発酵させた飲み物をキルギス人はよく飲んでいる。それらは家ごとに自家製のものもあるのだが、商品化されてペットボトル売りされているのもある。そういうドリンクを作る会社が、キルギス国内では上位企業にもなっている。

それらの会社は、ペットボトルを店舗売りするだけでなく、街頭に販売員を配置して、コップ1杯からの手売りもしている。冬場はいなかった販売員が、暖かくなると営業を開始する。販売員はほとんどが女性、若い人もいるが、なんとなく「おばちゃん」と呼ぶ方がいいようなユニフォーム、貫禄で客待ちをしている。「タン」「ショロ」は製品名、メーカー名であり、私の周り(協力隊員)では彼女らを「タンおばさん」「ショロおばさん」と呼んでいるのだ。

TAN_obasan

SHORO_obasan

発酵乳ドリンクを売っていると書いたが、それ以外にも麦などの穀物を混ぜて発酵させた飲み物や、アイスティーも扱っている。使い捨てのプラスチックコップ200mlくらいで8ソム(13~14円)程度。倍のサイズのコップもあるし、ペットボトルにも詰めてくれる。

3月末におばさんたちが出現し始めた頃は、まだポツリポツリという感じだったが、今はビシュケクの大きな通りの交差点ごとに店が出ている。面白いのは、ライバル会社同士が並びで店・販売員を置いていて、おばちゃん同士は客が来ない間はフツーにおしゃべりなんかをしているし、釣りの小銭がない時は隣の販売員に両替を頼んだりしている。こういうの、いいと思いません?

ビシュケクの人たちにとっては「のどが渇いたから1杯」と気軽に立ち止まって、おばちゃんたちからドリンクを買っている。ビシュケクの街頭に自動販売機はない(首都にないのだから、当然、地方にもない)が、こうして手売りで飲み物を買える。慣れるとこちらの方式独特の楽しさもある。不愛想なおばちゃんも多いが、別に客に喧嘩を売っているわけではない。この国で1年半以上も暮らしていると、こういう態度のほうが客に媚びておらず、かえって「フツー」の商売のようにも見えてくる。それに、そういう不愛想な人が多いだけに、たまに愛想のいいおばちゃんに出会うと、「ここで買って良かった」と思えるメリット(?)もある。

冬場はタンおばさん、ショロおばさんたちの店は出ないと書いたが、寒い時季はあえて道ばたでドリンクを買って飲もうという通行人はいないからだろう。それに、マイナス10℃を下回るような寒さの中で、おばちゃんたちも何時間も座り続けてはいられまい。なにより、その気温では飲み物も容器の中で凍ってしまい、コップに注ぐことができない。

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