私がキルギスに来たのは7月末で、夏の真っ盛り。植物は青々と息吹いていた。
10月ごろから事前に聞いていた通りに、気温が下がり始め、秋から冬へと季節は変わっていった。
日本でもよく見る光景だが、秋になると広葉樹の多くは葉を落とす。そういう葉っぱが道を覆っている。
秋から冬にかけて、広葉樹が葉を落とすのを見て、私は「木が枯れた」という言葉を使っていた。しかし、ホームステイしている家の庭の木を間近《まぢか》で見ていたら、葉のついていない枝に小さな蕾《つぼみ》がついているのに気づいた。
葉が落ちても、木は枯れているわけではないのだ。おそらく、陽射しが弱く、寒さが強い冬に、樹木自身が生き延びるために葉を落としているのだろう。
そんなこと、昨日今日にはじまったことではないのだから、これまでの人生でだって気づくことはできたはずなのに、そもそも木をまじまじと見ることがなかったのだと思う。
そのことに気づかされた、庭の木の小さな蕾である。
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