蚊の発生を抑えるために、地域全体に殺虫剤を撒くのはケミカルなやり方だが、もっとローテクで地道なやり方もあった。
草刈りである。
熱帯では、放っておいたらどんどん草が伸びる。「伸びる」だけでは言い足らない。「のび~る、のび~る」とストレッチマンがストレッチパワーを溜める時のかけ声のように、とにかく伸びる。
草がほうぼうから伸びて藪になると、そこが蚊の棲息場所になるので、草を刈って蚊が住めなくするわけだ。
草刈りの仕事は、おそらく低賃金労働だと思う。金属の棒の先に、ひも状のプラスチックがついていて、それがモーターで勢いよく回る。その勢いで草をバシッバシッとちぎっていく。炎天下だから、立っているだけでも体力は消耗する。そういう中で黙々と作業をしている男達をよく見かけた。
草刈りをするのは町だけである。町だってすべてをカバーできるわけではない。町から離れたら、道の両脇は熱帯の木・草が生い茂っていて、ひもプラスチックの草刈り機で太刀打ちできるものではない。当然、そういう所は人口密度も低いから、マラリヤなどが伝染する率も低い。とんとん、というところか。
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