前回、妊婦・出産の話題になったついでに、キルギスでの多児出産について書いておこう。
キルギスでは、子供を7人以上産んだ女性は政府から表彰されるそうである。
たまに、「この人は、子供を7人産んで表彰されたんだよ」とか「私はあと一人産んだら表彰されるの」という話を直接されることもある。もちろん、表彰されるほどのことだから、そう数は多い訳ではないが、子供を6人、7人と産む女性が周辺にいるところがすごい。
多産を政府が奨励するのは日本も同じか。出生率の低下、低止まりが続いている日本では、総人口も減り始めている。人口が減ることは、労働力・国内需要の縮小、税収の低下、社会保障費の負担の不公平性とか、様々な問題が派生してくる。人口の減少は、国際社会における相対的な国力の低下にもなる。そんなわけで、日本政府は「少子化対策」として、出産数が増えるための施策を考え、実施してきている。
キルギス政府が多産女性を表彰するのも、人口増加を促進することが目的であり、それによって国力を高めたいからであろうと推測する。きちんとした国勢調査はできていないようだが、推計でキルギスの人口は約500万人。日本の20分の1である。首都のビシュケクで人口100万人だったはずで、人口100万人以上の政令指定都市が各地にある日本と比べれば、経済力・産業の発展力の点で不利であることは簡単に想像が付く。
日本もキルギスも、政府が人口を殖《ふ》やそうとしている点で共通であるが、世界全体で見れば、現在(いや、すでに何十年も前から指摘され続けてきているのだが)は世界の総人口が増え続けていることのほうが問題と言われている。
資源(石油など)の枯渇と、資源(食料、水など)の争奪が現実のものになっている…。私が小学生くらいの頃、世界人口は50億人と言われていたが、いまや70億人である(!)。20億人も人が殖えるというのがどういうことなのか想像も付かない(なにせ日本では、人口減を食い止めようという話ばかりが聞こえている訳だし)。
7人(以上)の子供を産んで表彰されたという女性の話を聞く度に、そのバイタリティーに感心(実際、それだけの出産に耐えられるのだから、すごいエネルギッシュな女性が多い)しつつも、私の中ではどこか暗澹《あんたん》たる思いもしているのである。
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