暑い季節、外を歩いて汗をかいたあとに飲む冷えた炭酸飲料。たまりまへんな。
コーラとかペプシといった炭酸ジュースというのは冷やして飲むものだと思っていたが、キルギス人は冷えた飲み物はあまり好まないようなのである。
キルギス人の家にお邪魔する際、手みやげに炭酸ジュースを買っていくことがある。ジュースなのだから冷えた物のほうが良かろうと思って、店で冷えたペットボトルのを買っていく。
ところが、お邪魔したお宅でその炭酸ジュースを開ける際、わざわざペチカ(ストーブ)の近くに置いて温めているのである。
その家がたまたまぬるめの炭酸ジュースが好きなのかとも思ったが、別の家でも同じ様な光景を目にしたので、結構な割合で炭酸ジュースは冷えたまま飲まない家庭があるのだろうと推測している。
確かに、冷たい飲み物は腹を下す原因にもなるから、あんまり冷え冷えのジュースは良くない。特に小さな子供にはそうだろう。冷えたジュースを飲んで体調を崩すという経験の積み重ねで、炭酸ジュースは冷やしては飲まないという文化が定着したのか…
商店でも、炭酸ジュースを頼んだら、店員がペットボトルに手のひらで触れて、冷えていない方を選んでいるような時もあったが、これもぬるめの炭酸ジュースが好まれることを前提に考えれば、店員の親切心であったのだろう(「炭酸ジュース=冷やして飲む」と考えれば、逆に意地悪に感じる)。
人間の味覚は、3歳くらいまでに食べ慣れた物で、ほとんど生涯にわたる味の嗜好が決まってしまうのだそうだ。日本人が当たり前と思っている、炭酸ジュースを冷やす飲み方も、万国共通とは限らないのである。アフリカとかで送電線が普及していない地域であれば、コーラなんてなまぬるく飲むのが当たり前で、よもや冷やして飲む人たちがいるなんてことも思いもしないのかも知れない。
ビールにだって氷を入れて飲む地域があることは前に書いたと思うが、ジュースやビールといった日常的な飲み物が、いや日常的だからこそ、それぞれの地域で飲み方が分かれていて、かつ固定化しているのだろう。そして厄介なことに、自分の慣れ親しんだ飲み方以外は、どうしても奇妙に感じてしまうのである。
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