「はやい」の使い間違い

日本で「はやい」と言うと、時刻や時期が「早い」というのと、動作が「速い」というのと二つがあって、自分も含めて使い間違えている人は結構いる。特にパソコンの日本語変換では、キーを“速く”打っていると、変換ミスに“早く“気付かず、見過ごしてしまうことがある。という感じで、ややこしいのである。

漢字を見ればどちらの意味だかはすぐに理解できる。文脈でも判断が可能である。だがそもそも、二つの「はやい」は何で同じ音なのだろう? 時刻についてと、動作についてではあるが、両者とも「はやい」という点で何か共通している、ように感じられる。

しかし、それは日本語では二つの意味が「はやい」という音に収斂《しゅうれん》されているから起きる錯覚なのではないか…? とも思う。

例えば、英語で「早い」はearly /アーリー/、「速い」はfast /ファースト/、ロシア語ならそれぞれранний /ラーンニー/、быстрый /ブィーストリー/である。音がまったく違うから、日本語の「はやい」を書く時のような混同は起こらないのではないかと思うのだが、どうなのだろう(英語を母語とする人が、「早朝」をa fast morningとは間違わないと思うのだ)。

でも、例えば「車が速く走れ(A car goes fast.)」ば、その「車は速く到着する(The car arrives early.)」というふうに考えると、やはりearlyとfastにおいても共通する時間概念があるようにも思えてくる。

漢字の生まれた漢語ではどうなのかと思って、漢和辞典を調べてみたらさらにややこしいことになった。「早(ソウ)」の字義の一つに「すみやかに。急に」というのがあって、「すみやか」を漢字で書くと「速やか」なのである。ということは漢語においても「早=速」として認識されているのか? 「はやく来てください」という例文を考えると、「早く」も「速く」も使える…。

さらに露和辞典でбыстрый(速い)を引いたら、字義の一つに「素早い」が含まれていた。確かに、その言葉もありだ…。「速い」の説明に「素早い」があるとは。でもこれは日本語での問題であって、ロシア語で「早い」と「速い」が混同されやすいのかは不明。

完全にこんがらがって来た。「早い」と「速い」は音が同じだから使い間違い(日本語では書き間違い)が起こるのか、音が異なる言語でも「早い」と「速い」の誤使用は起きるのか、それぞれの言語を母語とする人に訊くのが一番であるように思う(特に幼少期の子供の使い間違いがあるのかどうか気になる)。

え? まだ似たような単語があるって?

はじめ(「始め」「初め」)

つく(「付く」「着く」)

かえる(「変える」「代える」「替える」「換える」!!)

…もう今日は止めましょう。

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