カウボーイイベントの2日目はロデオショー。
村のスタジアム(стадион)であった。スタジアムへは、3/22の「ノールズ(イスラム新年)」の時のイベント以来。
キルギス人も騎馬民族として培ってきた文化がある。そこには、馬を飼育するという以外にも、馬を使って遊ぶとか、「男を見せる」とか、食べるとか、色々とある。
この日は、ポールを立てて、そこを誰が一番速いタイムで回れるかの競争や、女の人が馬で先に走り出して、少し遅れて男が馬で追いかける遊びを披露していた。女が逃げ、男が追いかけるのは、どうやらこれで男のほうはいいところを見せるという文化があるようだ。「オレ、こんなに馬乗りが上手いぜ。どうだ、オレの嫁に来いや」みたいなノリではないかと想像した。
そして、上半身裸になった筋肉質の男同士が馬上で相手を落とし合う闘い。小中学校の運動会で、3人が下で櫓《やぐら》のように組み、その上に一人が乗って、紅白帽(または鉢巻)を奪い合う「騎馬戦」という種目があり、運動会の中でもリレーに次ぐ注目種目であった。この日行われたのは、まさに本当の騎馬戦。
これにカウボーイも参戦。シャツを着ていると可愛い顔をしたハンサムガイという印象だったカウボーイも、シャツを脱ぐとムキムキ。こりゃ、すぐに勝負が着くかと思ったが、対するキルギス人男性も負けずに応戦。引き分けであった。きっと、この人たち、子供の頃からこういう遊びをしてきているのであろう。
キルギス人の男たちの遊びに、2つのチームに別れて、屠《ほふ》った羊を馬上で奪い合い、自分の陣地に持っていくという遊びがある。ボールを羊に換え、馬に乗りながらするラグビーみたいなゲームである(だから、「自分の陣地」と書いたが、ひょっとすると「相手の陣地」という設定でゲームをしているかも知れぬ)。
こんな感じでやり合う。これだけ画角を落としてしまうと、迫力がほとんど伝わらないと思うが、近くで見ていると凄いものである。争奪戦がどちらに向かうかは誰も分からない上、男たちは羊を奪うことに夢中になっているから、客席に行ってしまうのではないか、ひょっとしたら自分のほうになだれ込んで来はしないかという緊張感がある。
この遊び、まず馬を自由に乗りこなせなければならない。それに加えて、地面にある羊を拾い上げ、それを片手で抱え、さらに敵からの奪取を防ごうというのだから、相当の腕力を要するのは容易に想像できる。羊は牛ほどの大きさではないにせよ、70~80kgはあるだろうから、それを持ち上げるだけでも大変なことである。
上の写真をクローズアップすると、羊を抱えているのが分かる(中央の白い馬に乗った人の左手)。
このゲームにもカウボーイが参加。観客も大いに盛り上がっていたのだが、とんだハプニングが起こった。羊の奪い合いに夢中になっている男たちが、競技場の中に立っている柱のほうに行ってしまい、競技者の一人がそこに激突、落馬。どうしてそんなところに柱を立てるかな~、となじったところで後の祭り。落馬した人は胸骨を折ったとかで、そのまま救急車で運ばれていった。
そしてロデオショーもそのまま終了。鷹匠の人がパフォーマンスをするために控えていたようだが、そのお披露目もお流れとなってしまった。見たかったけど、残念。
(なお、今回、掲載した写真は、同じ村の隊員からいただいたものである。当日、私はカメラを持参していなかったので…)