大阪新世界の名物といえば、通天閣と串揚げである。 串揚げの店には、出された揚げ物につけるためのソースがトレーに入って置かれている。揚げたての芋、玉ねぎ、肉のフライにソースを付けて食べるのが美味しい。
串揚げやのテーブルには「二度づけお断り」とか「二度漬け禁止」などと書かれているのが普通である。「二度漬け」とは、串揚げを最初にソースに漬け、途中まで食べた後で、ソース味を足すためにもう一度ソースの中に串を入れることである。ソースは客の共用であるから、これをやると唾液がソースに移るので嫌がる客がいるのであろう。店によっては共用ソースは置かず、各自の皿の上でソース容器から串揚げにかけるようにしてあるのは、二度漬けトラブルを回避するためであろう。
鍋料理の時には、皆で一つの鍋に箸を突っ込んで食べるのであるが、これを嫌だという人は少ない(いや、潔癖症の人には嫌だろうな。取り分け用の箸をわざわざ用意する席もあるかも知れない)。他にも刺身とか、煮物とか、大皿から取り分ける食べ方はいくらでもある(こういうのも潔癖症の御仁には耐え難いらしいが)。ソースの二度漬けも同じようなものだが、それは嫌だというのはなぜだろう…?
鍋料理は、煮立てながら食べるから煮沸消毒されるので、不潔に感じないのだろうか。では刺身や肉じゃがはどうなのだ? 煮沸できないぞ。
私が思うに、我々が嫌だと感じるのは「一度口に入れた物を共用の液体に再投入すること」なのではないか。しゃぶしゃぶをしている時に、食べかけの肉を「あ、俺の肉、冷えちゃったからもう一度あっためるワ」と言って、湯の中に戻す人とは二度と一緒に食事をしたくない。焼き肉の場合なら、もう一度網に戻されても、あんまり抵抗感はない。これは「液体に戻す」のではないからではないか(って、ほとんど主観的な許容範囲の話なのかも知れないが)。ソースの二度漬け禁止もこれで説明できるような気がするのだがどうだろう。
さて、キルギスで二度漬けはどう扱われているかというと、私の見る限りOKのようである。
こちらは食事の時にパンは欠かさず、バターにジャムも2~3種類、卓上に並んでいるのが普通である。バターやジャムをつける時、スプーンで取ってパンに塗ることもあるが、直接、ジャムにパンを漬けて食べることもある。この時、一度食べたパンをまた漬ける光景もよく目にする。皆が使うバター、ジャムであっても、二度漬けは「あり」と解釈できる。
潔癖症の方々は、こういう環境ではとても生活できないだろうと思う。
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