2011/04/13

食事エチケット色々 (1)

外国へ行って気を遣うことの一つが食事のエチケットである。食事は必ずしなければいけないことだし、同時に最大の楽しみでもあるから、楽しく美味しくいただきたいのだが、これほど文化によってやってよいこと・悪いことが食い違う領域も他にないので大変なのである。

昔、伊丹十三監督の『タンポポ』というグルメをテーマにした映画で、イタリアンレストランで女子大生たちが淑女のエチケットみたいな講習で、スパゲティを食べる時にはスプーンとフォークをこれこれのように使って、音を立てずに食べるのですとお勉強している、その講習をしている隣のテーブルで、がさつな中年おやじがエチケット無視で音を立ててスパゲティをすすって、美味しそうに食べているのを見て、女子大生たちもズルズルと音を立てながら食べる、おまけに講師の先生までも真似をする、というシーンがあった。

日本人は、そばやうどん、ラーメンなど、麺を食べる時は音を立てて食べるのが普通だし、あの音をさせないと美味しくないとまで言う人もいる。子供の頃、「外国では食べる時に音をさせてはいけない」と教えられ、音を立てて食べる自分たち日本人は低俗なのではないかと疑ったものだが、欧米崇拝が今よりも色濃く残っていた時代でもあったのだろう。いまや、なんとかというスパゲティのチェーン店では、最初から割り箸が出されるほどである(以前、試しにフォークとスプーンを頼んだら、もちろん出してくれた)。

欧米文化圏では、スープを食べる時にスプーンが食器にカチンとあたる音もダメだと聞いたが本当だろうか。ここキルギスでは食事中の音に関してはおおらかである。来た当初は、どういうエチケットがあるのか分からず、おそるおそる手探りで静かに食べるようにしていたが、キルギス人たちが食器があたる音は気にしていない様子なので、今では気にせずに食べている(わざと音を立てるわけではない)。

音に関して、欧米ではテーブルでのげっぷは最大級のエチケット違反になるらしい。日本でもげっぷは基本的にはNGではないだろうか。まあ、居酒屋とかみたいな所では、みんな普通に「ゲフッ」とやっているが…。

キルギスではどうか? 答えは「ノー・プロブレム」。全然気にせずにやっている。一応、「げっぷは失礼」というしつけを受けてきた者としては、一緒に食事をしている目の前でげっぷをされると、なんか食事が不味くなるような感じがしてしまうが、向こうには悪意はない。

マレーシアもげっぷOKであった。「月賦」ではない。げっぷである。念のため。若い女性も平気でげっぷするのであるが、日本では考えられない光景であると思ったものだ。

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