2011/03/16

ITの発展と災害(2)

ITが発展・普及することのメリットがある一方、デメリットについても考える。

今回のような災害では停電は不可避だと言える。福島原発の損壊の影響で、電気供給量が需要に対応しきれず、設備にダメージがない地域でも計画停電が行われているとのこと(余談だが、キルギスでは元々の発電能力が低いためか、時季によっては、災害でなくても計画停電が行われている)。

今、我々がもてはやしているITなるものは、そのどれをとっても電気なくしては成り立たないものばかりである。ITは「Information Technology(情報技術)」の略だが、ここでいう情報技術というのは、主にコンピュータによるものを指していて、伝書鳩や糸電話なんかは含んでいないわけで、電気がなければ何もできない技術だということになる。

これがITの最大の弱点だ。

さらに、ITに関しては、それを利用できるかどうかは個人差が大きいという問題もある。前回は「携帯は一人一台の時代」と書いたが、実際にはそんなことはない。私の周りではほぼ100%持っていたが、携帯もパソコンもないという人はいる。そういう人たちは、年齢が高くなるほど多いはず(子供も自分専用の端末は持ってないが、親・きょうだいが持っていれば、間接的に利用できる)で、よく言われることだが「情報弱者」になってしまう人たちである。

携帯・パソコンを持っていたとしても、それを使えるかは別の問題としてある。技術が高度化・多様化すれば、その操作を覚える側の負担は増える。平時であれば、それを覚えて携帯の機能を使えるようになることは、達成感もあり楽しいことだが、緊急事態の時に、パスワードがどうのとか、cookieの設定をしろだとか、いちいちつっかえるようでは使い物にならん。

災害時においては、最先端のITよりも古い技術のほうが使いやすい面がある。その代表がラジオ。ポケットラジオなら、乾電池だけで聴ける。それだって電気だから、電池が切れたら使い物にならないのだが、今は手動発電で聴ける災害用ラジオも売られている(といっても、自分が買ったことはない…)。

ラジオに関して気になるのは、ここ最近は建物の建材がラジオ電波を通しにくいとかで、都市部ではラジオ電波の難聴世帯が増えていて、それへの対策として、民放ラジオ放送局はウェブ上で同時放送するようになってきている(radikoなど)。最近見たニュースでは、NHKも近く、ウェブ放送を開始するとのこと。

ラジオ好きの一人としては、ノイズが少なくきれいな音でラジオが聴けるのは嬉しい(radikoはよく利用していた)が、ウェブラジオが普及しすぎて、電波ラジオ向けの放送というのが縮小されてしまうことなないのかが心配である。例えば、電波中継用の基地局を暫時減らしていくとかみたいなことはないのだろうか、と。

ウェブでラジオを聴くということは、パソコンを使うわけで、ラジオ受信機と比べたら消費電力も多くなる。災害とは関係ないが、これも省エネには逆行してる。今は、ラジオも聴ける(FM放送)携帯電話も出ているから、その辺がこの問題への対処となるのだろうか?

前回書いた通り、ITによって災害時の連絡が取りやすくなったというメリットはある一方で、電気が取れなければ何もできないという弱点もある。災害時の避難グッズには安価なポケットラジオを入れておくなど、ITとアナログ技術の二段構えにしておくというのも必要なのかもしれない(現在、避難生活をされている人にとっては、のん気すぎる内容で申し訳ない…)。

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