2011/05/01

言語ごとの「指」 (2)

前から気になっていたのだが、日本語では「ゆび」と「さす」が同じ漢字である。だから「ゆびさす」を漢字で書くと「指指す」となる。某社の漢字変換では「指差す」と出るし、国語辞書でも「差す」は正字とされているが、「差す」は物の長さを測ったりする時の字(例:物差し)だから、「指す」と書いた方がいいんじゃないのか。おそらく「指指す」と書くと読みづらく(「ささす」とか「ゆびゆびす」とか)、変な感じがするので「差す」にしているんだろう。

漢字の「指」には、ある方向に向かっていく意味もある。指し示すことと、向かっていくことのイメージが近いのか。

私は残りの人生、「指指す」を指向し、他人にも「指指す」を指南する!

「指」の入った熟語の中に「将指《しょうし》」というのを見つけた。国語辞書には載っていないから漢語のみの単語であろう。もう、なんのブログか訳が分からなくなってきているのだが、ついでだから書いておく。

【将指】(ショウシ)
手の中指。足の親指。将は、大の意。(大修館書店『新漢語辞典』)

え? 「将は、大の意」ってことは、「中指」を「大きな指」と見ていることになる。確かに一番長い指であるから、それ自体はおかしくはないのだが、前回見たロシア語では「大きな指」とは「親指」を指していたから、ここでも言語によって別の意味になっている。

こういう基本的な単語だからこそ、言語ごとに微妙にニュアンスが違うところに、その言語を生み出した文化の認識の違いが表われてくる。

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