日本国外、特に途上国へ行くと野良犬が多いのに気付く。日本では、野良犬と見なされれば、保健所が捕獲してしかるべき処分がされる。これは野良犬によって人が咬傷を負ったり、狂犬病に感染することのないための対策である。
逆に言えば、途上国で野良犬が多いということは、犬に咬《か》まれたり、狂犬病に感染することがあるということになる。このブログには度々書いている、NHKワールドの短波ラジオ放送で聞いた情報(だったと思う)では、全世界では年間5万人の狂犬病感染者が出ているのだという。
日本は野良犬駆除のおかげだろうが、国内での狂犬病の感染例はもう何十年もゼロである。だから、狂犬病についてはその病名は知っていても、どういう病気なのかについては知らない人も多い。
協力隊は、まさに開発途上国へ赴くことが任務であるから、事前訓練の時に、日本とは違う環境での健康管理について講義を受けるが、その中で狂犬病の話もある。ここで狂犬病のなんたるかを知る人も多いようであった。
狂犬病は恐ろしい感染症で、犬などに咬まれて狂犬病ウィルスに感染し、もし発症すると100%の致死率だという。発症後の治療法がないのだ。(ひえぇ~。)
私自身、犬好きなので、犬を見るとついついナデナデしたくなるのだが、海外旅行ではこれは単に咬まれるということに留まらない危険がある。それに、狂“犬”病と言っても、感染源となる動物は犬だけとは限らない。キツネ、アライグマなどのイヌ科動物も同様に危ないし、血吸いコウモリも感染の媒介をするらしい。
治療法がなく、発症後の致死率は100%であるが、予防法は確立している。一つは、日本ではお馴染みだが、犬に狂犬病ワクチンを接種すること。これとは別に、人間にもワクチン接種ができるそうで、協力隊派遣者は渡航前に全員、このワクチンを受ける。
また、事後対策法もあり、犬に咬まれた後、ただちに(0日=当日)にワクチンの接種をし、以降、3日後、7日後、14日後、28日後とワクチンを受けることで、発症を抑える効果が高い。
このワクチンがなければ、今も人間は狂犬病の全世界的な蔓延に苦しんでいたことだろう。そんなワクチンを開発したのは誰かと調べてみたら、パスツール博士(1822-1895)であった。細菌・ウィルス関連でたまに名前を耳にする気がするが、すごく功績のあった研究者なのであった。
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