2011/06/05

口パク考 (2) ~ 口パクも芸のうち? ~

今はどうか知らないが、昔、アメリカの音楽賞の授賞式なんかで、歌手が出てきて歌っているのを見て、これは口パクなんではないかと疑わしいのがほとんどだった。あれは、「そういう場ではテープ(って今は言わないか…)に合わせて歌うのが当然」という通念があって、許されていたんだろうか?

来日コンサートをする外国人歌手の中にも、「あいつは口パクでコンサートをしている」と言われている人がいた。それは日本の客をなめていたのか、それとも、そんなことも気にせず、当然のごとくテープに合わせて口パクをしていたのか?

テレビなどで見ていて、これは口パクであろうと8~9割方思うのであるが、どうも最後の1~2割で「いや、ひょっとしたら本当に歌っているかも」と思わせる歌手もいる。これは、口の動きと、音声とがピッタリ一致しているからで、なかなか見分け・聞き分けがつかないためである。

安っぽいプロモーションビデオなんかで、なんでそうなるかと言いたくなるほど、音声と口の動きがバラバラのやつがある。何度でもやり直しがきくはずのプロモでさえ、その体《てい》たらくなのだから、音声と口の動きを一致させるのは結構難しい芸当だとも考えられる(プロモで声・動きが合わないのは、予算の都合で、安直な作業で作っているからだろうが)。

だとすれば、コンサートなど、生の現場で、口パクだとばれずにすることも、それはそれで一つの完成された芸だと言えなくもない。まず、歌詞は絶対に間違えられない。さ●まさしは、ライブで歌詞を間違えて、そこから即興で歌詞をつけて歌い、ファンもそれを承知で楽しむらしい。生ならばそういうことも可能なのだ。

なんだか、口パクのほうが難しい芸当である気さえしてきた。完成された口パクは、それも一つの芸であると確信した。

生で歌わず、口パクも中途半端。キルギスの音楽番組でイライラするのは、その辺りなのか…。

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