【マルシュ百景】 荷物輸送としてのマルシュ

ずいぶんしばらくぶりのマルシュルトカ(маршрутка)の話。

マルシュルトカ(乗合いワゴン)は、自家用車がない人にとっては、国内移動をする際の一番の交通手段である。私も村に在住の頃は、首都と村の間を長距離マルシュ(日本人の中ではマルシュルトカを略してそう呼ぶ。地元の人は使っていない呼び方)で移動するが常であった。

マルシュの乗り場に行くと、本人は乗らずに荷物だけ預ける人を見かけることがあった。どうするのかと不思議に思って見ていると、運転手に電話番号を伝えている。そのままマルシュは出発。

何時間か走って、どこかの村に近づくと、運転手が誰かに電話をする。「もうじき○○に着くぞ。あんたどの辺にいんの?」みたいなことを話している。これは荷物の受取人と話しているのかと聞いていると、果たして、しばらくすると道端に人が立っていて、マルシュもそこで止まる。そして、預かってきた荷物を渡すのである。

ふ~ん、マルシュは荷物輸送の手段にもなるのだね。金を払えば「宅配」もしてくれるのかも知れない(あまりにも奥地は無理だろうけど)。

キルギスでは郵便局による小包の郵便サービスは整っていない。荷物を遠くの家族・知人に届けようとした時に、その方面に行く誰かに預けるか、そういう人がタイミングよく見つからなければマルシュの運転手に預けることになるようである。

日本国内に住んでいる人は気づきにくいことだと思うが、日本の郵便サービス、加えて民間の宅配サービスというのはすごくきめが細かく、かつ高い質である。そういうサービスがある国であることを日本人は誇ってよいと思う。

日本のような配達サービスが整っていないキルギスでは、マルシュのような人の移動手段に便乗させて荷物を届けるのだ。それも地元の人の知恵である。でも、携帯が普及するまでは、そういうのも思いつかなかったかも。あるいは、受取人が主要な停留所まで行ってまっておくとか、かな。

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