2010/12/31

口笛タブーの起源

先日、部屋で口笛を吹いていたら、ホストマザーから「口笛を吹くとお金が入ってこなくなるから、吹いちゃだめだよ」と注意された。

そう言えば、キルギスに到着後に受ける現地研修の時も、キルギス人の先生から「口笛を吹くと歯が増えるから」と、口笛は吹かないのがキルギス人の習慣だと教えられた。

もちろん迷信の類である(歯が増える訳がない!)のだが、タブーとされていることというのは、古い時代の生活様式に起因しているものがあるから、想像を巡らしてみると面白い。

実際には、村の中で若者たち(男)がちょっと離れた仲間の注意をひこうとする時などに、「フィー」と口笛(もしくは歯笛?)をならしているのを時折耳にする。どの時代、どの社会でもマナーを守らぬ不躾者はいるから、そういう類の連中なのかも知れない。

そういう連中の吹く口笛の音というのは、人の注意をひくのに十分な音色である。こうも上手に吹くかと感心する。

口笛は、ひょっとしたら羊飼い、牛追いの者たちが家畜を思う方向に動かそうという時に使うのではなかろうか。今、確信をもっては言えないが、そんな場面を見たことがあったようにも思う。村の中では男子は幼いころから、牧羊の仕事を手伝っているから、見よう見まねで口笛も覚えるのかも知れない。

口笛は牧羊作業で重要な音だから、無闇に「フィー、フィー」と吹いては、羊たちがあっちこっちへ動いてしまい、収集がつかなくなってしまいかねない。だから、かつて住民の多くが遊牧生活をしていた時代には、家畜を追う時以外に口笛を吹くことはタブーとされたのではなかろうか?

そう言えば、私などは夜は口笛を吹くのは縁起が悪いと躾られた。日本でも口笛タブーはあったのであろう。あれも何かの音と聞き違えることを忌避したのであろうか。

家で口笛を吹くことを禁じられ、最近、私はハミング専門である。

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