2010/12/19

キルギスにも柿がある

バコンバエバ村のバザール(市場のこと。と言ってもとっても小さい。都市部の人には、とても恥ずかしくて「バザール」とは言えないくらい)で柿を見つけた。

kaki

柿と言えば、「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」(だったかな?)の句があるように、日本の情景と結びついているようなイメージがあったが、こんな中央アジアの片田舎でも売られていたことに意外性を感じた。

柿には何十という種類があるよう(確か『ためしてガッテン!』で見た)で、私などはふゆう柿くらいしか名前を知らないが、人が食べないようなものがいくらでも存在するらしい。

とは言っても、村の中で柿の木は見たことがないので、よそから持ち込まれたものだろう。中国のほうからの輸入かも知れない。

さて、バザールで柿を見つけて、その場で五つ買い、その日にさっそく一つ食してみた。

渋い。

日本では、農家が品種改良をしてくれているのと、出荷時に甘いやつだけを選別してくれているから、「渋柿」なんていうのは言葉は使う機会がないくらいだが、「なるほど、これが渋柿か」と口内のザラザラしたような感覚とともに思った次第。

こういう柿を干すと糖度が高くなって美味しくなると発見した古人の知恵はすごい。「なんとしてでも、この渋柿を美味しくして食ってやろう」という執念のようなものだったかも知れない。

一つ目の柿で渋にあたってしまったので、残りは十日ほど置いておいた(実は置いておいたことも忘れていた)。ふと気づいて見ると、柿がぶよぶよになって、底のほうから汁が出るくらいまでになっていた。さすがにこれ以上置いておいたら腐りはじめるだろうと思い、食べてみた。

十日前に食べたのは渋かったのが嘘のように、こちらは甘くなっていた(個体差かも知れぬが)。個人的には、柿は固いほうが好きであるが、こちらのは十分に熟させてからのほうがいい(さもなくば渋にあたる危険が高い)。

昔から「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、柿に含まれる栄養価は抜群で、柿を食べていれば医者いらずということである。またそのうち買って食べたいが、こちらの物価で考えると、ちとお高い。

たびたび柿を買っていては、贅沢者と思われてしまうかも知れないから、しばらくは間をおくことにしている。

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