私の配属先(職場)は、午前中、障害児・者に授業のようなことをして、その後、みんなで昼食を食べて終わり、という流れである。
昼食は、お手伝いのおばちゃんが来て、キッチンで水餃子やヌードルなどを作ってくれている。
先日、「明日はukuleleちゃんが昼食を作ってよ」と言われた。「寿司を作って」と言われたが、1時間くらいの間に巻きずしを作るのは私には無理だったので、どうしようかと思ってると、こちらにスパゲティが売られているのを思い出し、ペペロンチーノのようなのだったらできそうだということで、翌日の昼食を作ることを引き受けた。
で、翌日、店でスパゲティ、にんにくなどを買って教室に戻り、キッチンで料理を開始。
茹で具合を見ながら10分くらい。茹で上がっていくのと並行して、なんだか麺のこしが極端になくなっていく! このあたりで、何となく違和感を感じ始めた。
きざんでおいたにんにく、玉ねぎとフライパンで炒め合わせたが、その頃には麺はグチャグチャになっているのが、見た目にも分かる状態。気が重~くなりつつも、途中で止める訳にもいかず、一応作り終えた。
子供たちはにんにくの入ったのは食べないからということで、私の作った「ペペロンチーノ」は、スタッフ・付き添いで来ているお母さんにふるまわれた。
おしゃべり・冗談が飛び交ういつものにぎやかな食卓とうってかわって、この日は静寂に包まれた高級レストラン(?)のような雰囲気。
「おいしいね」「これからは毎日ukuleleちゃんが作ってくれよ」などの賞賛が、みんなの本心から出たものではなかろうことは、私のような厚顔無恥、鈍感な者でも、みんなのフォークの動きを見れば分かるというものだ。
う~む… 何がいけなかったのか?
そもそも「スパゲティ」と呼ばれている麺が、私たちが日本で思っているものとは違う原料であるようだ。イタリアンパスタに使われている小麦粉は、確かセモリナという名前ではなかったかと思う。日本の店頭でスパゲティ麺を買う際、パッケージに「セモリナ粉使用」とか書いてあるので、なんでわざわざ小麦粉の名前を書く必要があるのかと理解できなかったのだが、おそらくセモリナ粉があってのイタリアンパスタなのだろう。
一方、今回私が使ったのは、おそらく普通の小麦粉から作られたようなもの、少なくともセモリナ粉ではない。茹でているうちに、湯がどんどんドロドロになって行ったものなぁ。
では、こちらの人はどうやって現地のパスタを料理するのか? その答えはその日のうちに示されることになった。
夕方、ホームステイ先の家に帰ると、ホストマザーが作っていたのが、まさにスパゲティ。フライパンの中に乾麺、野菜、肉、調味料を入れておき、そこに水を足して火にかける。こうして麺を茹でると同時に、すべての具材に火が通り、茹で上がったらすべてを混ぜればよい。こうして料理すると、水も必要最低限しか使わずに済む(茹で湯と分ける必要がない)。麺もグチャグチャにならない。そして何よりも、このほうが美味しい。
私が職場の昼食作りで敗北してきたその日の夕食に、ホストマザーがスパゲティを作って待っていたとは…。まさか職場から「ukuleleちゃんにキルギスのスパゲティを食べさせといて」と連絡があったんではと勘ぐらずにはいられぬほどのタイミングであった。
0 件のコメント:
コメントを投稿