2012/03/28

シルクロードの国に三蔵法師が帰って来た

キルギスのテレビを観ていて、面白いことをいろいろ発見する。

先日、仕事から帰宅してテレビを付けたら、夕方の時間帯に「西遊記」をやっていた。

おそらく中国で製作されたもので、キルギス語吹き替えになっているから、言っていることは99%分からないのだが、

西遊記

西遊記2

この写真をみれば、間違いないでしょ。

私の世代にとっては、「西遊記」と言えば、孫悟空・堺正章、三蔵法師・夏目雅子、猪八戒・西田敏幸(パート2では西田から左とん平)、沙悟浄・岸部シロー、加えて馬が人間に化けるた時の藤村俊二だ。ゴダイゴがブレイクしたのもこの番組のテーマ曲があったればこそだったはず。

男子はみんな堺の扮する悟空のアクションのマネをしたものだ。当時はビデオデッキなんてものはないから、私はカセットテープに録音していた。思い入れの強い番組である。

キルギスで放送されているのは、前述の通り、中国製作のものだと思うが、まあそのことはどうでもよい。問題なのは、「西遊記」というのは仏教に関係する物語であることだ。

これまで私のブログ内でも何度も触れていることだが、キルギスの7割程度を占めるキルギス人のほとんどはイスラム教徒である。そういう国で「西遊記」が放送されていることは、私にしてみればちょっとした驚きなのである。そして、このことは好意的に評価したい。

別に、この国に仏教が広まるきっかけになるから、ということではない。

私が好意的に評価するというのは、このキルギスは、かつて玄奘三蔵が唐からインドまで行く際に通った地であり、そのことは仏教だのイスラム教だの関係なく、人類の歴史として揺るがせない偉績があった場所だからであり、そのことをキルギス人が認識するきっかけになれば、という期待を込めてのことである。

思えば、この国での三蔵にまつわる史跡の扱いは惨憺たる状態。異教の偉人であるから、興味が持てないのは分からないではないが、いやいや、そんなないがしろにできるような人じゃないでしょ、あんた。と、思うのである。

そう思うのは、やはり日本人だからなのか…。でも、1400年も前に17年かけて3万キロの旅をしたって、それだけでも冒険譚として、面白いはずなんだけどなぁ。西遊記→三蔵というふうに、キルギス国内での関心が高まれば、これまで放置されてきた三蔵関係の史跡も発掘され直すなり、整備され直すきっかけになるのではないか、とかすかな期待を持ったりもする。そうすれば、日本や中国からの観光客も呼べると思うのだ。日本、中国では今でも三蔵はヒーローでしょ(今の日本の子供たちは三蔵法師についてどのように聞いているのだろうか。まさか、ほとんど知らない? まさか…。でも、数年前に某アイドルの孫悟空キャストでリメイクされたドラマ「西遊記」じゃあ、しょうがないか…)。

異教の史跡でも文化的な価値として保護するというのは、必要なことだろう。日本でもないがしろにされてしまっている仏教、神道以外の宗教遺跡というのはあるのかも知れないが、陸続きで国境を接している場所では宗教を巡る歴史は入り組んでしまっているのではないか。遺跡の発掘・整備となれば資金も必要なことだから、異教の物であれば後回しになる、というのもあるだろう。

IMG_1815
(なんか、お笑いタレントが仮装したかのような仏様も登場していた)

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