ネットニュースに、20年後の家庭での電気代の試算に関する記事があった。
原発から撤退し、それ以外の自然エネルギー発電に移行すると、発電コストが上がって家庭の電気代は月に2000円程度上昇する見込みだという。
試算では色々な要素を入れて、それぞれの影響を考えているのだろうが、この記事を見る限り、放射性物質の残滓処分にかかるコストについては言及がない。そういうのはコスト計算に入れないことになっているのだろうか? だとしたら奇妙奇天烈な印象がぬぐえない。
フクシマ原発のように、一度、「想定外」の出来事で重大な崩壊が起これば、それへの対処に膨大なコストがかかってしまう。今や発電機能を持たない原子炉を冷却し続けるために、これから何年、何十年と冷却作業を続けなくてはいけない。その費用は電気代には上乗せされないのか? 東電の電気代に含まれないのだとしたら、誰が何の名目でその費用を出すのか?
さらに、電気代が月に2000円上がるか、下がるかが今さら問題なのか、という気がしなくもない。
ことは電気代だけの話ではなくなっているのは、誰でも実感していることではないのか。出荷予定の野菜から放射能が検出された、出荷停止せよ。どこそこ地域の野菜は怖いから食べるなという風評。そもそも日本からの食品輸入はストップしようという他国の対応。
これらの話だけをとっても、一家庭の電気代が月々2000円安くなったからといって補なえる訳はない。そもそもその土地に住めなくなり、仕事を失った人たちの生活すべてに関することは、試算の要素として加えなくてもよいのか? 電力会社がそれへの補償金を払うとなったら、電気代に上乗せになるだろう(フクシマ原発周辺の住民への補償は必ずなされるだろうから、試算にも加えているかもね。ただ、新たな事故が起こった場合の補償額は含めているのかどうか)。
こんなことを考えると、どこそこの機関からの「原発を維持したほうが電気代が安くなりますよォ~」というアナウンスに、何か作為があるのではないかと疑わざるをえない。奇妙也、奇天烈也。
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