十日間、首都に滞在して、地元に戻って驚いたのが、ホームステイ先の家の庭に羊が飼われていたことだった。計8頭。
その翌日には、牛が一頭庭につながれていた。
この牛は近所から預かっていただけだと、あとでわかった。羊は自家用らしい。それにしても、庭で羊やら牛が飼えるって、ちょっとすごくないですか、キルギス? 日本ではムツゴロウさんちくらいでしょうな。
庭にこんな大型動物が飼われているのは、ちょっとワクワクする。そのうち、餌もやってみたいと思う。面倒をみているうちになついてくれるかしらん? しかし、こういう動物を飼育するにあたって、日本人とキルギス人には決定的な差がある。
我々はついペットとして見てしまうが、キルギスの人々はあくまでも食料として見ている。家の人に羊をどうするのかと尋ねたら、「お客が来たら食べる。自分たちの分でも食べるかも知れない」との返事。
羊はペットではない。食料である。だから、餌をやり、肥えさせたのちに殺して食べるのも残酷でもなんでもない。そういう感覚なんだろう。いな、そもそも「ペットかどうか」という判断もないだろうと思う。
前を通り過ぎるたびに、襲われないかと心配そうにこちらを見つめるつぶらな瞳を前に、キルギス人と同じように「おいそう~」と思えるようになるかはわからないが、少なくともそういう感性があることは理解しておきたい。
私にとってはペットでも、他の人にとっては食料だということが、この世界にはいくらでもある。そういう意味で、他国・他文化の人の食文化を「野蛮」だと決めて、武力行使もいとわず止めさせようとする思想に、私は馴染めない。
そう言えば、アニメ「アルプスの少女 ハイジ」の中で、ハイジとペーターがかわいがっていた子ヤギのユキが、乳の出が悪いからとヤギの所有者が食用に回そうとするが、ハイジたちが一所懸命に草を食べさせ、乳が出るようにし、屠られるのを免れるというエピソードが入っていた。
あれは宮崎駿が作ったアニメだったはずだが、最近の宮崎駿ならあのようなエピソードを入れるだろうかと、ふと思った(最近は、近代主義批判・伝統文化再評価という感じのトーンでアニメを作っていると思うので)。
あ、ペットの話とは別に、羊肉はキルギスに来てからすごく好きになりました。脂身、めちゃうまっ!
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