2011/05/30

カウボーイが来た (3) ~ コンサート、聴衆のマナー ~

ロデオショーがあったその夜、村のコンサートホール、その名も「レーニン・クラブ」でカウボーイと地元ミュージシャンの音楽コンサートがあった(「クラブ」はロシア語でклуб。集会所、といった感じ)。

concert

「地元ミュージシャン」というのは、キルギスの民謡歌手と、おそらくその一座。アメリカとキルギスの音楽文化の交流といった趣旨であったろう。

カウボーイの歌は決して下手ではなかった。いや、人前で歌うのであるし、上手かったと思う。だが、この日はそれ以上にキルギス側のミュージシャンのほうが際だっていた。

一つには、カウボーイの歌った歌というのが、スローテンポの、馬がカッポカッポと歩くようなリズムの曲ばかりで、キルギス人にはノリが弱かったのに対し、地元ミュージシャンのほうはジャンジャカとリズム感のある曲が多かった。それに、英語の曲というのは、こちらの人には馴染みがないと思われるのに対し、キルギスの曲ならば、大抵の聴衆は知っているから、入れ込み方も違ってくる。

そういう事情があってか、地元ミュージシャンが歌う時は、みんな手拍子、指笛を吹いて盛り上がるのに対し、カウボーイが歌い始めると、子供はちょろちょろと動き回るは、大人は携帯電話をするは…。あまりにも子供が騒がしいので、オバチャンの一人が「コラ、何をごちゃごちゃ騒いでる! 静かにしなさい!」と、一喝。それはよかったのだが、その一喝も演奏中にしていたのであった。

歌・演奏は、聴き応えのあるものだったが、聴衆の鑑賞態度の悪さに、その場にいた私のほうが気分が悪くなった。こういう時、演奏者が嫌な思いをしているのではないかと、お節介な気遣いをしてしまうのだ。それは「日本人的」な感覚であろうか。

(実は、この数日後に、別のコンサートも見に行き、そこでも更に悪い鑑賞態度に、私はほんとにうんざりすることになるのであった。)

この日のコンサート、地元ミュージシャンの中の一人が弾いたコムズ(3弦楽器)のテクニックのすごさを見、聴けただけでも価値があった。

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