2011/04/21

キルギスの病院 (1)

先週のことであったが、職場の男性職員が、片手を庇《かば》うようにして、痛そうな感じだったのでどうしたのか訊いてみた。本人が言うには、前夜、酒場で飲んでいた時に、彼の亡母をバカにされたので喧嘩をしたのだという。

怪我をしたほうの手は、反対の手と比べると二回りくらい腫れ上がっており、素人目にも骨折しているんじゃないかと思われた。病院に行くように進めたが、「行かない」と言い張り、私が一緒なら行くと言う。彼は診察に必要な金が無く、私を同行させて診察料を立て替えさせようとしている節があり、それは御免なので断った。

かくして週が開けても病院に行っていなかったが、さすがの痛みに本人も心配になったのか、あるいは耐えきれなくなったのか、職場の人たちを回って金を借り、診察費用を工面していた。私のところにも来たので、「これしかないよ」と断って金を貸した(実際には貸した以上の金を持ち合わせていたのだが、金の貸し借りでは何度か嫌な思いも味わっているので、出かける時は金を分けておくようにしている)。

病院に行く段になって、また「一緒に行こう」と言ってきたが、今度は持ち合わせがないことも見せてあるし、立て替えさせるつもりもないだろうと思ったのと、私自身がキルギスの、片田舎の病院での診察がどんなものか見てみたい好奇心があったので、一緒に行くことにした。バコンバエバ村は、イシククリ州の中のトン郡にあるが、トン郡の中では一番大きい村であり、郡の病院もここに建てられている。別の用事ではしょっちゅう敷地内には入るのだが、病院本来の診察のほうは受けたことも見たこともなかった。自分が病気・怪我をすることなく、診察を見るにはよい機会であった。

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