2011/04/04

キルギスの飲酒問題 (1)

ロシアの酒といえば、言わずと知れたウォッカである。日本語では「火酒」という字があてられるように、度数が高いことで知られている。

キルギス人も、ソビエト連邦の一員だったこともあってか、ウォッカを飲む。キルギス語では「アラック」と言う。マレー語でも酒のことをアラック(arak)と言うので、語源はアラビア語の可能性もある。

キルギスでは、冠婚葬祭、パーティー、客を招いての食事などでは、必ずウォッカが出てくる。

こちらの飲み方は、小さなグラス(お猪口《ちょこ》くらいの大きさ)にホストが酒を注ぎ、その場にいる誰かが指名されて乾杯の口上を述べる。その口上が終わると、グラスを飲み干すという順番である。日本は、最初に乾杯の挨拶をしたら、その後は各自でどんどん飲んでいき、近くの席の人が酒を注ぐのが多いと思うので、スタイルが違う。まあ、キルギスはアルコール度数40度のウォッカが主であるから、ビールが主である日本のように、どんどん飲むという訳にはいかないのだろう。

ウォッカの値段であるが、これが驚くほどに安い。もちろん値段はピンからキリまであるが、安いものでは750mlボトルで100円もしないものが売っている(ただし、当然ながら味は良くない)。普通に飲まれているものでも200~300円程度。簡単に買えてしまう値段なのである。それが、この国の抱える問題の原因の一つである、と私は思う。

キルギスの、特に地方部では仕事が少ない。そのため、日中でも仕事がなくて時間を持て余している男達が道のそこかしこにいる。仕事のない者同士で、いわゆる「ヤンキー座り」をしながら、何か話をしている(別にここの人たちはヤンキーのつもりでそういうしゃがみ方をしている訳ではないけど)。見慣れてきているとは言え、昼間からそうやっている大人の男達を見るのは、やはりどこか違和感がある。

仕事のない一日というのは、実は結構長い時間である。そして、自分の気持ちを向ける対象(作業)がないから退屈である。おそらく、そういう退屈からくるストレスを解消したくて酒を飲んでいる人たちがいる。真っ昼間から、顔を赤らめて、千鳥足で道を歩いていく男達を毎日のように見かける。

ここには「仕事がない → 退屈しのぎに飲酒 → 酔っぱらうので仕事ができない → 仕事がないストレスでまた飲酒」というサイクルがある(現実的には、酔っぱらっていなくても仕事は少ないという問題はある)。こうして飲酒癖が深まって、アルコール依存症になっている人が多いように見受ける。

私は、この国における、飲酒がかなり容認されている文化は、色々な問題につながっていると思う。

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